女性の薄毛治療シリーズ 第9回 女性の薄毛と更年期|40代・50代で髪が細くなる原因と対策を医師が解説

「40代になってから髪が細くなった気がする」

「昔より分け目が目立つようになった」

「更年期と薄毛は関係ある?」

40代・50代になると、髪のボリュームの変化を感じる女性が増えてきます。

更年期は女性ホルモンのバランスが大きく変化する時期で、髪にもさまざまな変化が現れることがあります。

今回は、更年期と女性の薄毛の関係、そしてどのような対策や治療があるのかについて解説します。


更年期とは?

更年期とは、一般的に閉経の前後それぞれ約5年間、合わせて約10年間の時期を指します。

日本人女性では、一般的に50歳前後で閉経を迎える方が多いため、40代後半から50代前半頃に更年期を迎えることが多くなります。

この時期には、女性ホルモンであるエストロゲンが大きく変動しながら低下していきます。

その影響によって、

  • ほてり
  • 発汗
  • 動悸
  • 頭痛
  • 疲れやすさ
  • 気分の変化
  • 睡眠の変化

など、さまざまな症状がみられることがあります。

そして、髪が細くなる・薄くなるといった変化を感じる方もいます。


更年期になると髪はどう変わる?

「昔より髪が少なくなった」というより、

一本一本の髪が細くなった

と感じる方が少なくありません。

例えば、

  • 分け目が広がってきた
  • 頭頂部の地肌が透ける
  • 髪のハリやコシがなくなった
  • ポニーテールにしたときの束が細くなった
  • 髪がペタンとする
  • スタイリングしてもボリュームが出にくい

などの変化がみられます。

女性型脱毛症では、男性のAGAのように生え際が大きく後退するよりも、分け目を中心に頭頂部全体が徐々に薄くなることが多いのが特徴です。


更年期の薄毛=女性ホルモン不足?

「女性ホルモンが減るから髪が抜ける」と説明されることもありますが、実際にはもう少し複雑です。

女性型脱毛症には、

  • 加齢
  • 遺伝的な体質
  • ホルモン環境の変化
  • 毛包の変化

など、複数の要因が関係すると考えられています。

女性型脱毛症は更年期以降にみられることが多いため、ホルモンの変化も関与していると考えられていますが、女性ホルモンが低いだけでFAGAになるわけではありません。

そのため、

「エストロゲンを増やせば薄毛が治る」

という単純なものではありません。


年齢による髪の変化もあります

薄毛には、FAGAだけでなく加齢そのものによる毛髪の変化も関係します。

年齢とともに、

  • 髪の成長速度が遅くなる
  • 毛髪が細くなる
  • 髪の密度が低下する
  • 白髪が増える

などの変化が起こることがあります。

そのため、40代・50代の薄毛では、

「FAGA」と「加齢による変化」が重なっている

場合もあります。


更年期になって急に抜け毛が増えたら?

FAGAは一般的には、数か月~数年かけて徐々に進行します。

一方、

「急にシャンプー時の抜け毛が増えた」

「数か月で髪全体が薄くなった」

という場合には、別の原因も考える必要があります。

例えば、

  • 鉄不足
  • 甲状腺疾患
  • 急激なダイエット
  • 強いストレス
  • 体調不良
  • 薬剤の影響

などによる休止期脱毛が隠れていることがあります。

40代・50代だからといって、すべてを「更年期のせい」と考えないことが大切です。


更年期では鉄不足にも注意

40代では、まだ月経が続いている方も多く、月経量が多い場合には鉄不足が隠れていることがあります。

特に、

  • 月経量が多い
  • 疲れやすい
  • めまいがある
  • 息切れがする
  • 食事量が少ない

などの場合には、必要に応じて貧血やフェリチンなどを確認することがあります。

薄毛だけでなく、身体全体の状態をみることも大切です。


更年期の薄毛は自然に治る?

更年期に一時的に抜け毛が増えている場合には、原因によって改善することもあります。

一方、FAGAの場合は慢性的に進行することがあるため、自然に元通りになるとは限りません。

特に、

  • 分け目が少しずつ広がっている
  • 頭頂部が年々薄くなっている
  • 髪一本一本が細くなっている

という場合は、FAGAの可能性を考えます。

女性型脱毛症では、早期から治療を始めることで、進行を抑えたり、毛髪の状態を改善したりできる可能性があります。


更年期の薄毛にはどんな治療をする?

薄毛の原因がFAGAと考えられる場合には、状態に応じて治療を検討します。

代表的なものとして、

  • ミノキシジル外用
  • ミノキシジル内服(適応を慎重に判断)
  • HARG療法
  • 毛髪に必要な栄養を補うサプリメント
  • ホームケア

などがあります。

女性型脱毛症では、ミノキシジル外用が基本的な治療のひとつです。

薄毛の程度や体調、ライフスタイルなどを確認しながら、その方に合った治療をご提案します。


女性ホルモン補充療法(HRT)で薄毛は治る?

更年期症状に対して、婦人科で女性ホルモン補充療法(HRT)を行うことがあります。

「ホルモンを補えば髪も増えるのでは?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、薄毛の治療だけを目的としてHRTを行うものではありません。

HRTが必要かどうかは、更年期症状や全身状態などを婦人科で総合的に判断します。

薄毛については、薄毛の原因を確認したうえで、適切な毛髪治療を検討することが大切です。


毎日のヘアケアで気をつけることは?

薄毛が気になると、頭皮への刺激を避けるために、

「髪を洗わないほうがいいのでは?」

と思う方もいますが、通常は適切に洗髪して頭皮を清潔に保つことが大切です。

また、

  • 強く髪を引っ張るヘアスタイルを避ける
  • 爪を立てて頭皮をこすらない
  • 過度なダイエットを避ける
  • たんぱく質などを含むバランスのよい食事をとる

といったことも意識しましょう。

ただし、シャンプーや食生活だけでFAGAそのものを治すことは難しいため、進行している場合には医療的な治療も検討します。


「髪型で隠せるから」と放置しないことも大切

女性型脱毛症はゆっくり進行するため、

「まだ髪型で隠せるから」

「年齢だから仕方ない」

と、そのままにしてしまうことがあります。

しかし、女性型脱毛症では、最初はわずかな分け目の広がりだけでも、徐々に薄毛が目立ってくる場合があります。

薄毛がかなり進行してからよりも、

「以前と少し違う」と感じた時点で相談すること

をおすすめします。


当院では一人ひとりに合わせて診察します

広島プルミエクリニックでは、

  • 薄毛が始まった時期
  • 分け目や頭頂部の状態
  • 抜け毛の量
  • 月経の状態
  • 更年期症状の有無
  • 食生活
  • 既往歴
  • 服用中のお薬

などを確認しながら、薄毛の原因を考えます。

必要に応じて、血液検査や婦人科・内科など他の診療科への受診をおすすめする場合もあります。

そのうえで、FAGAが考えられる場合には、一人ひとりに合った治療をご提案します。


まとめ

40代・50代になると、

  • 分け目が広がる
  • 髪が細くなる
  • ボリュームが減る

など、髪の変化を感じる女性が増えてきます。

更年期のホルモン環境の変化や加齢は、女性の薄毛に関係する要因のひとつです。

しかし、

「更年期だから仕方ない」と決めつける必要はありません。

FAGAや鉄不足、甲状腺疾患など、治療できる原因が隠れていることもあります。

「最近、分け目が広くなった気がする」

「40代になって髪が急に細くなった」

「更年期だから仕方ないのかな?」

と思われている方も、一度お気軽にご相談ください。


よくある質問(FAQ)

Q. 更年期になると全員髪が薄くなりますか?

いいえ。

更年期に髪の変化を感じる方はいますが、すべての女性が薄毛になるわけではありません。

遺伝的な体質や加齢、栄養状態など、さまざまな要因が関係します。


Q. 閉経すると急にFAGAになりますか?

必ずしも急に発症するわけではありません。

FAGAは徐々に進行することが多く、40代・50代になって分け目の広がりなどに気づくケースがあります。


Q. 女性ホルモンを飲めば髪は増えますか?

女性ホルモン補充療法は、薄毛だけを目的として行う治療ではありません。

更年期症状などに対してHRTが必要かどうかは、婦人科で判断します。

薄毛には、原因に合った治療を選ぶことが大切です。


Q. 更年期の薄毛にはミノキシジルが使えますか?

FAGAと診断された場合、ミノキシジル外用は代表的な治療選択肢のひとつです。

持病や体調などを確認したうえで治療を検討します。


Q. 「年齢だから仕方ない」と様子を見てもいいですか?

加齢による変化だけの場合もありますが、FAGAは進行性のことがあります。

分け目が広がる、髪が細くなるなどの変化が続いている場合には、一度診察を受けることをおすすめします。


次回予告

第10回「女性の薄毛は予防できる?今日からできる頭皮ケア・生活習慣とやってはいけないことを医師が解説」

シャンプーの選び方、洗髪回数、頭皮マッサージ、食事、睡眠、髪を結ぶ習慣など、女性の薄毛が気になる方が日常生活で気をつけたいポイントについて詳しくご紹介します。

 

記事監修

広島プルミエクリニック 副院長 延美緒

形成外科専門医

所属学会・専門医・認定医
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員
  • ジュビダームビスタ 施注認定医
  • ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
2011年 岡山大学医学部 医学科卒業
様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く
2011年 国立病院機構 岩国医療センターにて研修
医学博士取得
2013年 同 岩国医療センター 医員
研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる
2014年 岡山大学附属病院 形成外科
再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う
2016年 岩国医療センター 形成外科
眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む
2018年 日本形成外科学会 専門医 取得
2019年 日本美容皮膚科学会 会員
2019年 県内美容皮膚科 勤務
美容皮膚科の診療に積極的に取り組む
2020年 広島プルミエクリニック 入職
形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ
2024年 広島プルミエクリニック 副院長就任