「鉄分が足りないと髪が抜けるって本当?」
「髪のためにサプリを飲んだほうがいい?」
「ダイエットを始めてから抜け毛が増えた気がする……」
女性の薄毛には、FAGA(女性型脱毛症)だけでなく、食生活や栄養状態が関係していることがあります。
特に女性では、鉄不足や過度なダイエットなどが隠れていることもあります。
今回は、女性の薄毛と栄養の関係について解説します。
髪の毛も栄養から作られています
髪の毛の主成分は、ケラチンというたんぱく質です。
健康な髪を育てるためには、
- たんぱく質
- 鉄
- 亜鉛
- ビタミン類
など、さまざまな栄養素が必要です。
そのため、極端な食事制限や偏った食生活によって栄養が不足すると、髪の成長にも影響することがあります。
ただし、
「この栄養素をたくさん摂れば髪が生える」
という単純なものではありません。
不足している栄養素がある場合に、適切に補うことが大切です。
女性に多い「鉄不足」と薄毛
女性では、月経などの影響によって鉄が不足しやすい傾向があります。
鉄が不足すると、
- 疲れやすい
- 息切れ
- めまい
- 顔色が悪い
などの症状が出ることがありますが、抜け毛や髪の変化につながることもあります。
特に、
- 月経量が多い
- 食事量が少ない
- 肉や魚をあまり食べない
- ダイエットをしている
といった方では、鉄不足がないか確認することがあります。
貧血がなくても鉄不足のことがある?
血液検査で「貧血ではありません」と言われても、体内に貯蔵されている鉄が少なくなっている場合があります。
その指標のひとつがフェリチンです。
フェリチンは、体内にどのくらい鉄を蓄えているかをみる検査です。
女性の脱毛を診察する際には、症状や食生活などによって、ヘモグロビンだけでなくフェリチンなどを確認することがあります。
ただし、フェリチンが何以上なら必ず髪が生える、という明確な数値が決まっているわけではありません。
検査結果だけではなく、症状やその他の検査と合わせて判断することが大切です。
たんぱく質不足でも抜け毛が増える?
髪の毛はたんぱく質から作られているため、極端にたんぱく質の摂取量が少なくなると、髪の成長に影響する可能性があります。
特に注意したいのが、
急激なダイエットです。
短期間で大幅に食事量を減らしたり、特定の食品だけを食べたりすると、身体は生命維持に必要な臓器への栄養を優先します。
その結果、髪の成長が後回しになり、数か月後に抜け毛が増えることがあります。
ダイエットの数か月後に抜け毛が増えることも
強いストレスや急激な体重減少、栄養不足などをきっかけに、多くの髪が一斉に休止期へ移行することがあります。
これを**休止期脱毛(telogen effluvium)**と呼びます。
特徴として、
- ある時期から急に抜け毛が増える
- 頭皮全体から抜ける
- 数か月前にダイエットや体調不良などのきっかけがある
ことがあります。
原因が改善すると徐々に回復することもありますが、FAGAが同時に存在することもあるため注意が必要です。
亜鉛は髪に必要?
亜鉛も、身体のさまざまな細胞が正常に働くために必要な栄養素です。
明らかな亜鉛不足がある場合には、脱毛がみられることがあります。
ただし、
「薄毛=亜鉛サプリを飲めば治る」わけではありません。
亜鉛が不足していない方が必要以上に摂取しても、発毛効果が高くなるわけではありません。
サプリメントは「多ければ多いほど良い」というものではないため、過剰摂取にも注意が必要です。
ビオチンは飲んだほうがいい?
「髪にはビオチンがいい」と聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
ビオチン不足では髪や皮膚に症状が出ることがありますが、通常の食生活をしている方で明らかなビオチン欠乏がみられることは多くありません。
不足がない状態でサプリメントを大量に摂取しても、必ずしも薄毛の改善につながるわけではありません。
また、ビオチンを多量に摂取していると、一部の血液検査に影響することがあります。
サプリメントを使用している方は、診察時にお伝えください。
サプリメントを飲めば髪は増える?
ここは、よくいただくご質問です。
結論からいうと、
栄養不足が原因の一つになっている場合には、必要な栄養を補うことが大切です。
一方で、FAGAそのものが原因の場合、
サプリメントだけで十分な改善が得られるとは限りません。
例えば、
- 鉄不足 → 必要に応じて鉄を補う
- 食事量不足 → 食生活を改善する
- FAGA → ミノキシジルなどの治療を検討する
というように、原因に合わせて治療を考える必要があります。
サプリの飲みすぎにも注意
「髪によさそうだから」と複数のサプリメントを自己判断で使用している方もいらっしゃいます。
しかし、栄養素は多く摂ればよいわけではありません。
鉄や亜鉛なども、必要以上に摂取すると副作用を起こす可能性があります。
また、一部の栄養素は過剰摂取によって、かえって脱毛につながることもあります。
そのため、
不足しているかどうかを確認したうえで、必要なものを補う
という考え方が大切です。
薄毛で血液検査が必要なこともあります
女性の薄毛では、症状によって
- 貧血・鉄不足
- 甲状腺機能
- 栄養状態
などを確認するため、血液検査をおすすめする場合があります。
特に、
- 急に抜け毛が増えた
- 疲れやすい
- 月経量が多い
- 急激に体重が減った
- 食事制限をしている
- 薄毛以外にも体調の変化がある
といった場合には、FAGAだけではない原因が隠れていないか確認することが重要です。
髪のために食生活で意識したいこと
特別な「発毛食」を食べる必要はありません。
基本は、極端に何かを制限せず、
- 肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質
- 野菜
- 炭水化物
- 良質な脂質
などをバランスよく摂ることです。
女性では鉄が不足しやすいため、赤身肉や魚、貝類、大豆製品なども上手に取り入れましょう。
無理なダイエットよりも、長く続けられるバランスのよい食生活が髪にとっても大切です。
「食生活を改善すれば治る」とは限りません
薄毛が気になると、
「最近食生活が悪かったからかな?」
と考える方も多いと思います。
もちろん栄養状態は重要ですが、女性の薄毛には、
- FAGA
- 甲状腺疾患
- 円形脱毛症
- 産後脱毛
- 薬剤の影響
- ストレス
- 加齢
など、さまざまな原因があります。
食生活だけに原因を求めず、薄毛のパターンや経過から原因を見極めることが大切です。
当院では原因に合わせて治療をご提案します
広島プルミエクリニックでは、薄毛の状態だけではなく、
- いつから薄毛が気になったか
- 抜け毛が急に増えたのか
- 食生活
- ダイエット歴
- 月経の状態
- 既往歴
- 服用している薬
なども確認しながら治療方針を考えます。
必要に応じて他科での検査や治療をご案内する場合もあります。
女性の薄毛は、一つの原因だけで起こるとは限りません。
髪だけでなく、身体全体の状態を見ることも大切です。
まとめ
健康な髪を育てるためには、適切な栄養状態が必要です。
特に、
- 鉄
- たんぱく質
- 亜鉛
などの不足や、急激なダイエットは抜け毛に関係することがあります。
しかし、
「サプリメントを飲めば薄毛が治る」というわけではありません。
不足があれば補い、FAGAなど別の原因があれば、その原因に合わせた治療を行うことが大切です。
「最近抜け毛が増えた」
「ダイエットをしてから髪が減った気がする」
「サプリメントを飲んだほうがいいのかわからない」
という方は、一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 鉄分を飲めば髪は増えますか?
鉄不足がある場合には、鉄を補うことで抜け毛の改善につながる可能性があります。
ただし、鉄不足がない方が鉄を摂取しても、必ずしも発毛効果が得られるわけではありません。
Q. フェリチンはいくつあればいいですか?
フェリチンは体内の貯蔵鉄の目安になりますが、「この数値以上なら必ず髪が生える」という明確な基準が確立されているわけではありません。
検査値だけではなく、貧血の有無や症状などと合わせて判断します。
Q. ダイエットで髪が抜けることはありますか?
あります。
急激な体重減少や極端な食事制限をきっかけに、数か月後に抜け毛が増えることがあります。
無理な食事制限は避けましょう。
Q. 髪のためのサプリメントは飲んだほうがいいですか?
不足している栄養素がある場合には有用なことがあります。
一方、栄養状態に問題がなければ、サプリメントを増やしても薄毛が改善するとは限りません。
Q. たんぱく質はたくさん摂ったほうがいいですか?
不足しないことは大切ですが、大量に摂取すれば髪が増えるというものではありません。
普段の食事の中で、必要量をバランスよく摂ることをおすすめします。
次回予告
第8回「女性の薄毛で血液検査は必要?貧血・フェリチン・甲状腺など、調べる項目を医師が解説」
「薄毛で血液検査をするの?」「貧血じゃなくても鉄不足はある?」「甲状腺と抜け毛は関係する?」など、女性の薄毛の診察で確認することがある検査について詳しくご紹介します。
記事監修
広島プルミエクリニック 副院長 延美緒
形成外科専門医
所属学会・専門医・認定医
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
- ジュビダームビスタ 施注認定医
- ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
| 2011年 | 岡山大学医学部 医学科卒業 様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く |
|---|---|
| 2011年 | 国立病院機構 岩国医療センターにて研修 医学博士取得 |
| 2013年 | 同 岩国医療センター 医員 研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる |
| 2014年 | 岡山大学附属病院 形成外科 再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う |
| 2016年 | 岩国医療センター 形成外科 眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む |
| 2018年 | 日本形成外科学会 専門医 取得 |
| 2019年 | 日本美容皮膚科学会 会員 |
| 2019年 | 県内美容皮膚科 勤務 美容皮膚科の診療に積極的に取り組む |
| 2020年 | 広島プルミエクリニック 入職 形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ |
| 2024年 | 広島プルミエクリニック 副院長就任 |
