第8回 美容整形の麻酔中に目が覚めることはあるの?術中覚醒のリスクと安全対策

こんにちは。広島プルミエクリニックです。

美容整形の手術を検討されている患者様から、

「手術中に麻酔が切れてしまうことはありますか?」
「途中で目が覚めて、痛みを感じたらどうしよう」
「手術中に意識が戻ってしまうことはないのでしょうか?」

といったご質問をいただくことがあります。

麻酔中に意識が戻ることを心配される方は少なくありません。

今回は、麻酔中に目が覚める可能性や、静脈麻酔と全身麻酔の違い、安全のために行われる対策について解説します。

① 麻酔中に目が覚めることはある?

結論からいうと、麻酔中に意識が戻る可能性はゼロではありません。

ただし、麻酔の種類によって、意識が戻ることの意味は異なります。

全身麻酔では、手術中に意識がない状態を維持することを目的としています。

一方、静脈麻酔では、使用する薬剤や麻酔の深さによって、眠っているような状態から、呼びかけに反応できる状態までさまざまです。

そのため、静脈麻酔中に一時的に意識が戻ることと、全身麻酔中に予期せず意識が戻ることは、分けて考える必要があります。

② 全身麻酔中に目が覚める「術中覚醒」とは?

全身麻酔中に、意図せず意識が戻り、手術中の出来事を記憶している状態を「術中覚醒」といいます。

術中覚醒が起こると、周囲の声が聞こえたり、体に触れられている感覚が残ったりすることがあります。

まれに痛みや、体を動かせない恐怖を感じる場合もあります。

英国の大規模調査では、患者様から自発的に報告された術中覚醒の頻度は、全身麻酔約19,000件に1件と報告されています。

ただし、術後に詳しい質問を行う研究では、これより高い頻度が報告されており、調査方法によって数値は異なります。

術中覚醒はまれな合併症ですが、完全に防げるとは限らないため、適切な麻酔管理が重要です。

③ 静脈麻酔中に目が覚めることはある?

美容外科では、静脈麻酔を使用する手術もあります。

静脈麻酔は、点滴から薬剤を投与し、眠気や鎮静状態を得る方法です。

麻酔の深さによっては、手術中に声が聞こえたり、呼びかけに反応したり、一時的に目が覚めたりすることがあります。

これは必ずしも麻酔の異常を意味するものではありません。

また、静脈麻酔で使用される鎮静薬には、それ自体には十分な鎮痛作用がないものもあります。

そのため、美容外科手術では局所麻酔などを組み合わせて痛みをコントロールすることがあります。

「眠っていること」と「痛みを感じないこと」は、必ずしも同じではありません。

静脈麻酔でどの程度の鎮静状態を目指すかは、手術内容や患者様の状態によって異なります。

④ なぜ麻酔中に意識が戻ることがあるの?

麻酔薬の効き方には個人差があります。

年齢や体格、体質、持病、普段服用している薬などによって、必要な麻酔薬の量は異なります。

また、全身麻酔では、患者様の血圧や呼吸、循環状態などを考慮しながら麻酔薬を調整します。

麻酔薬を多く使用すれば安全というわけではなく、過剰な投与によって血圧低下や呼吸抑制などが起こる可能性もあります。

そのため、患者様の状態に合わせて、適切な麻酔の深さを維持することが大切です。

⑤ 麻酔中の安全はどのように確認するの?

麻酔中は、患者様の全身状態を継続的に確認することが重要です。

一般的には、以下のような項目を監視します。

  • 血圧
  • 心拍数・心電図
  • 血液中の酸素飽和度
  • 呼吸状態
  • 必要に応じて呼気二酸化炭素濃度や麻酔深度

これらの情報や患者様の反応を総合的に判断し、麻酔薬の投与量などを調整します。

なお、血圧や心拍数だけで意識の有無を確実に判断できるわけではありません。

麻酔深度を評価するモニターが使用される場合もありますが、どの方法でも術中覚醒を完全に防げるわけではありません。

安全な麻酔管理には、適切なモニタリングと、患者様の状態に応じた対応が欠かせません。

⑥ もし手術中に目が覚めたら?

静脈麻酔中に意識が戻った場合、痛みや不安があれば、可能な範囲で医療スタッフに伝えてください。

患者様の状態を確認し、必要に応じて局所麻酔や鎮静薬の調整などを行います。

一方、全身麻酔中の術中覚醒では、状況によっては声を出したり体を動かしたりできない場合があります。

術後に「手術中の声が聞こえた」「痛みを感じた記憶がある」など、気になる体験があった場合には、遠慮なく医師にお伝えください。

内容を確認し、必要に応じて麻酔記録の検証や、その後の心理的なサポートにつなげることが大切です。

⑦ まとめ

美容整形の麻酔中に意識が戻る可能性は、完全にゼロではありません。

ただし、静脈麻酔中に一時的に意識が戻ることと、全身麻酔中の予期しない術中覚醒は異なります。

また、麻酔中の安全性を高めるためには、患者様の全身状態を確認しながら、適切に麻酔を管理することが重要です。

麻酔について不安がある場合は、手術前に十分な説明を受け、納得したうえで治療を選択することが大切です。

広島プルミエクリニックでは、患者様のご希望や手術内容、健康状態を踏まえ、麻酔方法についてもご説明しています。

心配なことがありましたら、カウンセリングの際にお気軽にご相談ください。


次回予告

第9回「美容整形の麻酔後はいつから普通の生活に戻れる?」

運転・食事・入浴・仕事復帰など、麻酔後の日常生活で気をつけたいポイントについて解説します。

 

記事監修

広島プルミエクリニック 副院長 延美緒

形成外科専門医

所属学会・専門医・認定医
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員
  • ジュビダームビスタ 施注認定医
  • ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
2011年 岡山大学医学部 医学科卒業
様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く
2011年 国立病院機構 岩国医療センターにて研修
医学博士取得
2013年 同 岩国医療センター 医員
研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる
2014年 岡山大学附属病院 形成外科
再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う
2016年 岩国医療センター 形成外科
眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む
2018年 日本形成外科学会 専門医 取得
2019年 日本美容皮膚科学会 会員
2019年 県内美容皮膚科 勤務
美容皮膚科の診療に積極的に取り組む
2020年 広島プルミエクリニック 入職
形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ
2024年 広島プルミエクリニック 副院長就任