【眼瞼下垂シリーズ②】その“ぱっちり”、本当に治っていますか?

― 切らない眼瞼下垂(タッキング法)の正しい理解 ―

「切らずに眼瞼下垂を治したい」
「ダウンタイムを取れないので、できれば糸で改善したい」

そのようなご希望は少なくありません。

近年、いわゆる“切らない眼瞼下垂”と呼ばれる治療法が広まり、
選択肢の一つとして定着してきました。

しかし、ここで一度整理しておきたいことがあります。

その“ぱっちり感”は、何によって生まれているのか。


切らない眼瞼下垂(タッキング法)とは何をしているのか

切らない方法では、主に

  • 挙筋、ミュラー筋を糸で短縮する(タッキング)

という処置が行われます。

つまり、
まぶたの開きを“補助する”治療です。

構造そのものを大きく変えるわけではありません。

また、切らない眼瞼下垂だけではまぶたは二重になりませんので、

一重の方や二重の幅を広げたい方、二重の左右差がある方は、二重形成(埋没法)も必要となります。


向いている方

切らない方法が適しているのは、例えば次のような場合です。

  • 軽度の眼瞼下垂

  • 大きな左右差がない

  • ダウンタイムを最小限にしたい

  • まずは変化を試してみたい

このようなケースでは、
自然な改善が得られることがあります。


向いていない場合もある

一方で、

  • 明らかな開瞼機能の低下がある

  • 額の代償動作が強い

  • 眼瞼下垂の進行がみられる

  • 皮膚のたるみが強い

このような場合は、
糸だけでは十分な改善が得られないことがあります。

その結果、
「戻った」「思ったほど変わらなかった」と感じる原因になります。


“治す”と“整える”は違う

切らない方法は、
見た目を整えることに優れた方法です。

しかし、
根本的な機能改善が必要な場合には、
切開による挙筋前転などの方法が適していることもあります。

どちらが良い・悪いということではなく、
目的によって適切な方法が異なるということです。


大切なのは適応の見極め

眼瞼下垂の治療で重要なのは、
術式そのものよりも「診断」です。

まぶたの開きの状態、筋肉の働き、皮膚の厚み、骨格。

これらを総合的に判断したうえで、
無理のない治療をご提案することが大切だと考えています。

次回は、
「切開による眼瞼下垂手術は何をしているのか?」
について、構造の視点から解説します。

 

記事監修

広島プルミエクリニック 副院長 延美緒

形成外科専門医

所属学会・専門医・認定医
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員
  • ジュビダームビスタ 施注認定医
  • ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
2011年 岡山大学医学部 医学科卒業
様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く
2011年 国立病院機構 岩国医療センターにて研修
医学博士取得
2013年 同 岩国医療センター 医員
研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる
2014年 岡山大学附属病院 形成外科
再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う
2016年 岩国医療センター 形成外科
眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む
2018年 日本形成外科学会 専門医 取得
2019年 日本美容皮膚科学会 会員
2019年 県内美容皮膚科 勤務
美容皮膚科の診療に積極的に取り組む
2020年 広島プルミエクリニック 入職
形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ
2024年 広島プルミエクリニック 副院長就任