本日は、「涙袋形成」に関して、それぞれの特徴と選び方を専門医が解説します。
涙袋は、眼輪筋(眼の周囲の筋肉)のふくらみ(収縮)によって形成される構造ですが、加齢により筋肉や皮膚の張りが減少すると、涙袋が薄くなり、表情(目元)がフラットで疲れて見えたり、寂しげな印象をあたえることがあります。
一方、涙袋があると、目の下に「光の反射帯」が生まれ、
・表情(目元)の印象が柔らかくなる
・若々しくみせる
・中顔面を短く見せる
といったことが挙げられます。
このため、近年では男女問わず人気が高く、涙袋形成に関する施術も多様化してきております。
【ヒアルロン酸注入による涙袋形成】
ヒアルロン酸を、細い針またはカニューレで注入し、涙袋のライン・ボリュームを形成します。
施術時間は10-15分程度、ダウンタイムもほとんどありません。
特徴
・ダウンタイムが少なく、気軽にできる
・微調整が容易
・希望の太さや長さを形成できる
・溶解剤(ヒアルロ二ダーゼ)で溶かしたり、修正が可能
などがあります。
初めて涙袋を作る方や自然なボリュームを試してみたい方、ダウンタイムを避けたい方に向いている治療となります。

元々ある涙袋をナチュラルに強調することで、より印象的で可愛らしいお目元になりましたね!
デメリットとしては、効果が半年~1年と一時的である、入れすぎると「不自然な膨らみ」や「チンダル現象(青み)」がでる、皮膚が薄い方は凹凸や透け感、浮きがでやすい、といったことがございます。
【手術による涙袋形成術】
主に眼輪筋の一部を縫い縮めたり(切開法・アンカー法、埋没法)、脂肪注入・脂肪移植などを行う方法です。
・一度の手術で半永久的な効果がある
・涙袋の膨らみだけでなく、涙袋下縁のラインをしっかり作ることができる
・切開法では、同時に目の下のたるみ、小じわも改善できる
といった特徴がございます。
ヒアルロン酸注入による涙袋形成を繰り返している方(特に、ヒアルロン酸が流れて目袋になりつつある方)、長期的な効果がほしい方、目元のたるみも同時に改善したい方などに向いている治療です。


膨らみと共に、下縁のシャープな涙袋が形成されています!
デメリットとしては、手術のため腫れや内出血といったダウンタイムが生じる(2-4週間)、形態が思ったものと異なる場合に修正が難しい、ヒアルロン酸注入に比べて費用が高め、といったことがあげられます。
また、応用編として、目袋(eye bag 、目の下のクマ・膨らみ)が目立つことで、本来の涙袋がわかりにくくなっている方もいらっしゃいます。このような場合は、目の下のクマ治療(脱脂術+脂肪注入、裏ハムラ法、表ハムラ法)を行うことでクマを解消するだけでなく、涙袋も明瞭になるという一石二鳥の効果がございますので、ぜひ診察時にお尋ねいただけますと幸いです。

裏ハムラ法で、クマの膨らみをtea trough~Nasojugal grooveの凹みへ移動させたことで、本来の涙袋の存在が明瞭になりました。
【どちらを選ぶべき?】
始めての方や、形を試してみたい方には、可逆的治療であるヒアルロン酸注入からトライしてみるのがよいです。年齢・皮膚の厚さ・目の形などによっては、「涙袋があること」と「なりたい印象」が異なることもありますので、万が一イメージと異なる場合にも微調整(修正)が可能だからです。
ヒアルロン酸で理想の形を確認したうえで、長期的な変化を求める場合には手術を検討するのが自然な流れです。
また、加齢によるたるみや脂肪の突出がある場合は、単純なヒアルロン酸注入では改善しにくく、手術が適しているケースもあります。
【まとめ】
涙袋形成には、ヒアルロン酸注入と手術の両方にそれぞれのメリットがあります。どちらが良いかは、「どんな印象にしたいか」によって異なります。
大切なのは、目元の構造を理解した上で最適な方法を選ぶこと。
カウンセリングでは、目の下の状態や骨格、筋肉のバランスを見ながら、最も自然で美しい方法をご提案いたします。
お気軽にご相談くださいませ。
記事監修
広島プルミエクリニック 副院長 延美緒
形成外科専門医
所属学会・専門医・認定医
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
- ジュビダームビスタ 施注認定医
- ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
| 2011年 | 岡山大学医学部 医学科卒業 様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く |
|---|---|
| 2011年 | 国立病院機構 岩国医療センターにて研修 医学博士取得 |
| 2013年 | 同 岩国医療センター 医員 研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる |
| 2014年 | 岡山大学附属病院 形成外科 再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う |
| 2016年 | 岩国医療センター 形成外科 眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む |
| 2018年 | 日本形成外科学会 専門医 取得 |
| 2019年 | 日本美容皮膚科学会 会員 |
| 2019年 | 県内美容皮膚科 勤務 美容皮膚科の診療に積極的に取り組む |
| 2020年 | 広島プルミエクリニック 入職 形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ |
| 2024年 | 広島プルミエクリニック 副院長就任 |





