第3回 ケロイドと肥厚性瘢痕の違いとは?傷跡が盛り上がる原因と治療法を形成外科専門医が解説

傷跡が赤く盛り上がると「ケロイドでは?」と心配になる方も多いでしょう。実はケロイドと肥厚性瘢痕は異なる状態です。それぞれの違いや原因、治療法について形成外科専門医が分かりやすく解説します。


ケロイドと肥厚性瘢痕の違いとは?

傷跡が盛り上がる原因と治療法を形成外科専門医が解説

手術やケガのあとに、

「傷跡が赤く盛り上がってきた…」
「このまま治らないのでは?」

と不安になる方は少なくありません。

このような傷跡は、「ケロイド」と呼ばれることがありますが、実際には「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」であるケースも多くあります。

ケロイドと肥厚性瘢痕は似ていますが、原因や特徴、治療方法が異なります。

今回は、その違いについて分かりやすくご紹介します。


ケロイドとは?

ケロイドとは、傷が治る過程で炎症が過剰に続き、傷の範囲を超えて周囲の正常な皮膚まで広がってしまう状態です。

次のような特徴があります。

  • 傷より大きく広がる
  • 赤みや盛り上がりが強い
  • かゆみや痛みを伴うことがある
  • 時間が経っても自然には改善しにくい

胸の中央や肩、耳たぶなどにできやすいとされています。


肥厚性瘢痕とは?

肥厚性瘢痕は、傷の範囲内で赤く盛り上がった状態を指します。

ケロイドとは異なり、

  • 傷の範囲を超えて広がらない
  • 時間とともに改善することが多い
  • 適切な治療やケアで落ち着きやすい

という特徴があります。

美容外科手術後に一時的に赤く硬くなる傷跡の多くは、この肥厚性瘢痕です。


ケロイドと肥厚性瘢痕の違い

ケロイド 肥厚性瘢痕
傷の外まで広がる 傷の範囲内にとどまる
自然に改善しにくい 徐々に改善することが多い
かゆみ・痛みが強いことがある 比較的軽いことが多い
再発しやすい 再発は比較的少ない

見た目が似ているため、ご自身で判断するのは難しいこともあります。


なぜ傷跡が盛り上がるの?

傷が治る過程では、新しいコラーゲンが作られます。

この反応が強すぎると、傷跡が赤く硬く盛り上がることがあります。

影響する要因としては、

  • 体質
  • 傷に強い力がかかる部位
  • 感染
  • 炎症が長引くこと

などが挙げられます。


治療方法は?

症状に応じて治療法を選択します。

代表的な治療には、

  • テーピングやシリコンシート
  • ステロイドの外用・貼付
  • ステロイド注射
  • 圧迫療法
  • 手術(必要に応じて)
  • レーザー治療(症例による)

などがあります。

早い段階で治療を始めることで、症状の改善が期待できる場合もあります。


「少し様子を見よう」が長引くことも

術後しばらくは赤みや硬さがあるため、正常な経過との区別が難しいことがあります。

しかし、

  • 傷がどんどん盛り上がる
  • 強いかゆみや痛みがある
  • 傷の外側まで広がってきた

このような場合は、早めに医師へ相談することをおすすめします。


よくある質問

Q. ケロイドは自然に治りますか?

自然に改善することは少なく、治療が必要になる場合があります。

Q. 美容外科の手術でもケロイドになりますか?

頻度は高くありませんが、体質や傷ができる部位によっては起こる可能性があります。

Q. 赤い傷跡はすべてケロイドですか?

いいえ。多くは肥厚性瘢痕や傷が治る過程でみられる正常な反応です。診察を受けることで適切な判断ができます。


まとめ

傷跡が赤く盛り上がったからといって、すべてがケロイドというわけではありません。

ケロイドと肥厚性瘢痕は異なる状態であり、それぞれに適した治療があります。

「傷跡が気になる」「以前より盛り上がってきた」と感じた場合は、自己判断せず、形成外科専門医へご相談ください。

適切なタイミングで治療を始めることが、より良い経過につながります。


次回予告

「傷跡をきれいに治すために今日からできること」

テーピングや保湿、紫外線対策など、ご自宅でできる傷跡ケアについて詳しくご紹介します。傷跡を少しでも目立ちにくくしたい方は、ぜひご覧ください。

 

記事監修

広島プルミエクリニック 副院長 延美緒

形成外科専門医

所属学会・専門医・認定医
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員
  • ジュビダームビスタ 施注認定医
  • ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
2011年 岡山大学医学部 医学科卒業
様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く
2011年 国立病院機構 岩国医療センターにて研修
医学博士取得
2013年 同 岩国医療センター 医員
研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる
2014年 岡山大学附属病院 形成外科
再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う
2016年 岩国医療センター 形成外科
眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む
2018年 日本形成外科学会 専門医 取得
2019年 日本美容皮膚科学会 会員
2019年 県内美容皮膚科 勤務
美容皮膚科の診療に積極的に取り組む
2020年 広島プルミエクリニック 入職
形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ
2024年 広島プルミエクリニック 副院長就任