【眼瞼下垂シリーズ③】切開の眼瞼下垂手術は何をしているのか?

― 構造から理解する治療の本質 ―

「切開は怖い」
「傷が目立つのではないか」
「本当にそこまで必要なのか」

切開による眼瞼下垂手術に対して、不安を感じる方は少なくありません。

しかし一方で、
根本的な改善が必要なケースでは、切開法が適している場合もあります。

では実際に、切開の眼瞼下垂手術では何をしているのでしょうか。


眼瞼下垂の原因 ― “腱膜性下垂”とは

成人に多い眼瞼下垂の多くは、
「腱膜性眼瞼下垂」と呼ばれる状態です。

これは、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の力そのものが弱いのではなく、
挙筋腱膜が緩んだり、外れかけたりしている状態です。

例えるなら、
カーテンレールからフックが少し外れているような状態です。

筋肉は働こうとしているのに、
まぶたにうまく力が伝わらないのです。


切開法で行うこと ― 挙筋前転

切開による眼瞼下垂手術では、

  • 挙筋腱膜の位置を確認し

  • 緩んでいる部分を適切な位置に戻し

  • 前方へ固定し直します(挙筋前転)

つまり、
力がきちんとまぶたに伝わる状態を再構築する手術です。

糸で補助するのではなく、
構造そのものを整えます。


なぜ安定しやすいのか

構造的な位置を修正するため、
適切な適応で行えば、
比較的安定した結果が得られます。

もちろん、加齢や体質による変化はありますが、
“補助する”治療よりも、
根本に近い改善を目指せる方法です。


傷跡について

切開は通常、二重ラインに沿って行います。

そのため、
既に二重のある方では、
時間の経過とともに目立ちにくくなります。

腫れや内出血などのダウンタイムはありますが、
適切な術後管理により、通常は徐々に落ち着いていきます。


切開=大げさ、ではありません

切開という言葉の印象から、
「大がかりな手術」と感じられるかもしれません。

しかし実際には、
必要な方にとっては“適切な修復”に近い治療です。

重要なのは、

  • 本当に機能改善が必要か

  • 糸で補助できる範囲か

  • たるみや骨格の影響はどうか

を正しく見極めることです。


治療の目的を明確にする

「ぱっちりしたい」のか、
「重さを改善したい」のか、
「左右差を整えたい」のか。

目的が違えば、選択する術式も変わります。

切開か、非切開か。
大切なのは方法ではなく、適応の判断です。

次回は、
「眼瞼下垂と二重手術は何が違うのか?」
について解説します。

 

記事監修

広島プルミエクリニック 副院長 延美緒

形成外科専門医

所属学会・専門医・認定医
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員
  • ジュビダームビスタ 施注認定医
  • ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
2011年 岡山大学医学部 医学科卒業
様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く
2011年 国立病院機構 岩国医療センターにて研修
医学博士取得
2013年 同 岩国医療センター 医員
研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる
2014年 岡山大学附属病院 形成外科
再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う
2016年 岩国医療センター 形成外科
眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む
2018年 日本形成外科学会 専門医 取得
2019年 日本美容皮膚科学会 会員
2019年 県内美容皮膚科 勤務
美容皮膚科の診療に積極的に取り組む
2020年 広島プルミエクリニック 入職
形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ
2024年 広島プルミエクリニック 副院長就任

【眼瞼下垂シリーズ②】その“ぱっちり”、本当に治っていますか?

― 切らない眼瞼下垂(タッキング法)の正しい理解 ―

「切らずに眼瞼下垂を治したい」
「ダウンタイムを取れないので、できれば糸で改善したい」

そのようなご希望は少なくありません。

近年、いわゆる“切らない眼瞼下垂”と呼ばれる治療法が広まり、
選択肢の一つとして定着してきました。

しかし、ここで一度整理しておきたいことがあります。

その“ぱっちり感”は、何によって生まれているのか。


切らない眼瞼下垂(タッキング法)とは何をしているのか

切らない方法では、主に

  • 挙筋、ミュラー筋を糸で短縮する(タッキング)

という処置が行われます。

つまり、
まぶたの開きを“補助する”治療です。

構造そのものを大きく変えるわけではありません。

また、切らない眼瞼下垂だけではまぶたは二重になりませんので、

一重の方や二重の幅を広げたい方、二重の左右差がある方は、二重形成(埋没法)も必要となります。


向いている方

切らない方法が適しているのは、例えば次のような場合です。

  • 軽度の眼瞼下垂

  • 大きな左右差がない

  • ダウンタイムを最小限にしたい

  • まずは変化を試してみたい

このようなケースでは、
自然な改善が得られることがあります。


向いていない場合もある

一方で、

  • 明らかな開瞼機能の低下がある

  • 額の代償動作が強い

  • 眼瞼下垂の進行がみられる

  • 皮膚のたるみが強い

このような場合は、
糸だけでは十分な改善が得られないことがあります。

その結果、
「戻った」「思ったほど変わらなかった」と感じる原因になります。


“治す”と“整える”は違う

切らない方法は、
見た目を整えることに優れた方法です。

しかし、
根本的な機能改善が必要な場合には、
切開による挙筋前転などの方法が適していることもあります。

どちらが良い・悪いということではなく、
目的によって適切な方法が異なるということです。


大切なのは適応の見極め

眼瞼下垂の治療で重要なのは、
術式そのものよりも「診断」です。

まぶたの開きの状態、筋肉の働き、皮膚の厚み、骨格。

これらを総合的に判断したうえで、
無理のない治療をご提案することが大切だと考えています。

次回は、
「切開による眼瞼下垂手術は何をしているのか?」
について、構造の視点から解説します。

 

記事監修

広島プルミエクリニック 副院長 延美緒

形成外科専門医

所属学会・専門医・認定医
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員
  • ジュビダームビスタ 施注認定医
  • ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
2011年 岡山大学医学部 医学科卒業
様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く
2011年 国立病院機構 岩国医療センターにて研修
医学博士取得
2013年 同 岩国医療センター 医員
研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる
2014年 岡山大学附属病院 形成外科
再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う
2016年 岩国医療センター 形成外科
眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む
2018年 日本形成外科学会 専門医 取得
2019年 日本美容皮膚科学会 会員
2019年 県内美容皮膚科 勤務
美容皮膚科の診療に積極的に取り組む
2020年 広島プルミエクリニック 入職
形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ
2024年 広島プルミエクリニック 副院長就任

【眼瞼下垂シリーズ①】眼瞼下垂とは何か?基礎からわかりやすく解説

そもそも眼瞼下垂とは何か?

「まぶたが重い気がする」
「眠そうに見えると言われる」
「二重の幅が狭くなって(広くなって)きた」

このようなお悩みでご相談いただくことが増えています。

ですが、
“二重の変化=眼瞼下垂”ではありません。

まずは正しい理解からお伝えします。


■ 眼瞼下垂とは

眼瞼下垂とは、
上まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の働きが低下し、黒目が十分に露出しない状態を指します。

診断では「MRD-1(黒目の中心から上まぶた縁までの距離)」を参考にしますが、
一般の方にとって大切なのは数値よりも症状です。

代表的な症状は以下です。

・まぶたが重い
・夕方になると目が疲れる
・おでこにシワが入りやすい
・肩こりや頭痛がある
・無意識に顎が上がる

これらは、まぶたを上げようとして額の筋肉で代償しているサインです。


■ 「眠そう」との違い

眠そうに見える原因は一つではありません。

・皮膚のたるみ
・眉の位置
・骨格(奥目傾向)
・二重幅の問題

これらが原因の場合、
必ずしも眼瞼下垂とは限りません。

そのため、
診察で「何が原因で開きが悪く見えているのか」を見極めることが大切です。


■ 二重手術との違い

二重手術は「上まぶたの皮膚を折り込み、ラインを作る手術」です。
一方で、眼瞼下垂手術は「開きを改善する手術」です。

ですので、二重幅を広げても根本的な目の開きは改善しません。

逆に、開きが改善すると
二重幅が自然に整うことがあります。

ここを混同してしまうと、
「思っていた結果と違う」と感じる原因になります。


■ 大切なのは“診断”

眼瞼下垂かどうか。
手術が必要かどうか。
切らない方法で十分かどうか。

これらは、
一律に決まるものではありません。

当院では、
構造を確認したうえで、
適切な治療法をご提案しています。

次回は、
「切らない眼瞼下垂はどこまで改善できるのか?」
について解説します。

記事監修

広島プルミエクリニック 副院長 延美緒

形成外科専門医

所属学会・専門医・認定医
  • 日本形成外科学会 専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
  • 日本美容皮膚科学会 会員
  • ジュビダームビスタ 施注認定医
  • ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
2011年 岡山大学医学部 医学科卒業
様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く
2011年 国立病院機構 岩国医療センターにて研修
医学博士取得
2013年 同 岩国医療センター 医員
研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる
2014年 岡山大学附属病院 形成外科
再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う
2016年 岩国医療センター 形成外科
眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む
2018年 日本形成外科学会 専門医 取得
2019年 日本美容皮膚科学会 会員
2019年 県内美容皮膚科 勤務
美容皮膚科の診療に積極的に取り組む
2020年 広島プルミエクリニック 入職
形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ
2024年 広島プルミエクリニック 副院長就任