「薄毛なのに、どうして血液検査をするの?」
「健康診断で貧血はないと言われたけれど、鉄不足のこともある?」
「甲状腺の病気でも髪が抜けるの?」
女性の薄毛には、FAGA(女性型脱毛症)だけでなく、貧血や鉄不足、甲状腺疾患、栄養状態などが関係していることがあります。
そのため、抜け毛の状態や経過によっては、血液検査を行うことがあります。
今回は、女性の薄毛で確認することがある血液検査について解説します。
薄毛なのに、なぜ血液検査をするの?
女性の薄毛は、見た目だけでは原因を判断できないことがあります。
例えば、
- FAGA
- 鉄不足
- 甲状腺機能の異常
- 急激なダイエット
- 栄養不足
- 産後のホルモン変化
- 薬剤の影響
- 強いストレスや体調不良
など、さまざまな原因によって抜け毛が増えることがあります。
そのため、
「薄毛=すべてFAGA」ではありません。
特に、急に抜け毛が増えた場合や、身体の不調を伴っている場合には、背景に病気や栄養不足がないか確認することが大切です。
すべての人に血液検査が必要?
必ずしも必要ではありません。
分け目や頭頂部が徐々に薄くなっているなど、典型的なFAGAの経過がみられる場合には、診察を中心に判断することもあります。
一方で、
- 急に抜け毛が増えた
- 髪全体が急激に薄くなった
- 疲れやすい
- めまいや息切れがある
- 月経量が多い
- 急激に体重が減った
- 極端な食事制限をしている
- 冷えやむくみ、体重変化などがある
といった場合には、必要に応じて血液検査を検討します。
大切なのは、症状に合わせて必要な検査を選ぶことです。
貧血の検査
女性の薄毛で確認することがある代表的な項目のひとつが、貧血です。
血液検査では、
- ヘモグロビン
- 赤血球数
などを確認します。
鉄不足が進むと鉄欠乏性貧血となり、
- 疲れやすい
- 息切れ
- 動悸
- めまい
- 顔色が悪い
などの症状が現れることがあります。
また、抜け毛や髪の変化につながることもあります。
「貧血ではない=鉄不足ではない」とは限らない?
ここは、女性の患者さまからよくご質問をいただくところです。
健康診断で、
「貧血はありません」
と言われていても、体内に蓄えられている鉄が少なくなっている場合があります。
そこで参考になるのが、フェリチンという項目です。
フェリチンとは?
フェリチンは、体内に蓄えられている鉄、いわゆる**「貯蔵鉄」**の目安となる検査です。
ヘモグロビンが正常でも、フェリチンが低下していることがあります。
特に、
- 月経量が多い
- 肉や魚をあまり食べない
- ダイエット中
- 妊娠・出産を経験した
- 食事量が少ない
といった方では、鉄不足がないか確認することがあります。
ただし、
「フェリチンが○○以上なら髪が生える」
といった明確な基準があるわけではありません。
検査値だけで判断せず、症状やその他の検査結果と合わせて評価します。
甲状腺と抜け毛は関係する?
甲状腺は、身体の代謝を調整するホルモンを作る臓器です。
甲状腺機能に異常があると、髪の成長にも影響し、頭皮全体の抜け毛が増えることがあります。
必要に応じて、
- TSH
- FT4
などの甲状腺機能を確認することがあります。
こんな症状がある場合は甲状腺も確認することがあります
例えば、
- 疲れやすい
- 寒がりになった
- むくみやすい
- 体重が増えた、または減った
- 動悸がある
- 手が震える
- 汗をかきやすくなった
など、薄毛以外の症状がある場合には、甲状腺疾患が隠れていないか確認することがあります。
もちろん、これらの症状があるからといって必ず甲状腺疾患というわけではありません。
薄毛だけでなく、身体全体の変化を確認することが大切です。
亜鉛などの栄養状態を調べることも
症状や食生活によっては、亜鉛などの栄養状態を確認する場合もあります。
例えば、
- 偏った食生活
- 極端な食事制限
- 食欲低下が続いている
- 消化器の病気がある
といった場合です。
ただし、前回もお話ししたように、
不足していない栄養素を大量に補えば髪が増えるわけではありません。
必要な場合に、必要なものを補うことが大切です。
女性ホルモンは測ったほうがいい?
「女性の薄毛だから、女性ホルモンを測ったほうがいいですか?」
というご質問もあります。
FAGAでは、必ずしも女性ホルモンの血液検査が必要というわけではありません。
ただし、
- 月経不順
- 無月経
- 多毛
- にきびが急に増えた
- その他ホルモン異常を疑う症状がある
などの場合には、必要に応じて婦人科や内科などで詳しい検査をおすすめすることがあります。
血液検査だけでFAGAと診断できる?
血液検査だけでFAGAを診断することはできません。
FAGAでは、
- 薄毛の始まり方
- 分け目の広がり
- 頭頂部の毛髪の状態
- 髪の太さ
- 抜け毛の経過
- ご家族の薄毛の有無
などを確認しながら診断していきます。
血液検査は、
「FAGA以外の原因が隠れていないか」
を確認するための補助的な検査と考えると分かりやすいでしょう。
「異常なし」でも薄毛になることはある?
もちろんあります。
血液検査で、
- 貧血なし
- 鉄不足なし
- 甲状腺機能も正常
だったとしても、FAGAによって薄毛が進行していることがあります。
「検査が正常だったから、薄毛の原因がない」
ということではありません。
逆に、FAGAと鉄不足などが同時に存在することもあります。
女性の薄毛では、一つの原因だけに決めつけないことが大切です。
血液検査で異常が見つかったら?
例えば鉄不足が見つかった場合には、原因を確認しながら必要に応じて治療を行います。
月経量が多い場合には婦人科疾患が関係していることもあります。
また、甲状腺機能に異常がみられた場合には、専門の医療機関での検査や治療が必要になることがあります。
このような場合は、
薄毛だけを治療するのではなく、原因となっている身体の状態を改善することが重要です。
当院では薄毛の経過や体調も確認します
広島プルミエクリニックでは、薄毛の状態だけでなく、
- いつから薄毛が気になったか
- 徐々に進行したのか、急に抜け始めたのか
- 月経の状態
- 妊娠・出産歴
- ダイエット歴
- 食生活
- 既往歴
- 服用している薬
- その他の体調変化
なども確認します。
必要に応じて血液検査や、他の診療科への受診をおすすめする場合があります。
そのうえでFAGAが考えられる場合には、
- ミノキシジル外用
- ミノキシジル内服(適応を慎重に判断)
- サプリメント
- HARG療法
- ホームケア
などから、一人ひとりに合わせた治療をご提案します。
まとめ
女性の薄毛では、FAGAだけでなく、
- 貧血・鉄不足
- 甲状腺疾患
- 栄養不足
などが関係していることがあります。
そのため、症状や経過によっては血液検査を行い、薄毛の背景に別の原因が隠れていないか確認することが大切です。
ただし、すべての方に同じ検査が必要なわけではありません。
大切なのは、
「髪だけを見る」のではなく、身体全体の状態も含めて原因を考えること。
「最近急に抜け毛が増えた」
「薄毛だけでなく、疲れやすさなども気になる」
「自分の薄毛の原因を一度調べたい」
という方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 薄毛なら必ず血液検査をしますか?
いいえ。
薄毛の状態や経過、その他の症状を確認し、必要な場合に検査を検討します。
Q. 健康診断で貧血がなければ鉄不足ではありませんか?
ヘモグロビンが正常でも、貯蔵鉄の指標であるフェリチンが低下している場合があります。
症状などに応じて確認することがあります。
Q. フェリチンはいくつあれば薄毛に問題ありませんか?
「この数値以上なら薄毛にならない」「この数値まで上げれば発毛する」という明確な基準が決まっているわけではありません。
他の検査値や症状と合わせて判断します。
Q. 甲状腺の病気で髪が抜けることはありますか?
あります。
甲状腺機能の異常によって、頭皮全体の抜け毛が増えることがあります。
薄毛以外の症状も確認し、必要に応じて検査を行います。
Q. 血液検査がすべて正常ならFAGAですか?
必ずしもそうとは限りません。
血液検査はFAGAそのものを診断する検査ではなく、他の原因が隠れていないか調べるために行うことがあります。
診察や薄毛の経過などを含めて総合的に判断します。
次回予告
第9回「女性の薄毛と更年期|40代・50代で髪が細くなる原因と対策を医師が解説」
「40代になって急に髪のボリュームが減った」「更年期と薄毛は関係する?」など、女性ホルモンの変化と髪の関係について詳しくご紹介します。
記事監修
広島プルミエクリニック 副院長 延美緒
形成外科専門医
所属学会・専門医・認定医
- 日本形成外科学会 専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS)正会員
- 日本美容皮膚科学会 会員
- ジュビダームビスタ 施注認定医
- ボットクスビスタ 施注認定医
経歴
| 2011年 | 岡山大学医学部 医学科卒業 様々な科の中でも腫瘍切除後の形態再建を担う形成外科に興味を抱く |
|---|---|
| 2011年 | 国立病院機構 岩国医療センターにて研修 医学博士取得 |
| 2013年 | 同 岩国医療センター 医員 研鑚を積み、形成外科医として腫瘍切除や植皮など形成外科的治療に携わる |
| 2014年 | 岡山大学附属病院 形成外科 再建やリンパ浮腫、外傷、ジェンダーなど幅広く形成領域の治療を行う |
| 2016年 | 岩国医療センター 形成外科 眼瞼下垂や熱傷、鼻の再建、腋臭症のオペなど、形成外科医としてより深く研鑚を積む |
| 2018年 | 日本形成外科学会 専門医 取得 |
| 2019年 | 日本美容皮膚科学会 会員 |
| 2019年 | 県内美容皮膚科 勤務 美容皮膚科の診療に積極的に取り組む |
| 2020年 | 広島プルミエクリニック 入職 形成外科専門医の知識と技術を美容外科・美容皮膚科へ活かす為、広島プルミエクリニックへ |
| 2024年 | 広島プルミエクリニック 副院長就任 |
